【僕と彼女と彼女の生きる道】再放送・第2話
#2 別れの理由
凛(美山加恋)のことで仕事に集中できない徹朗(草なぎ剛)は井上部長(小日向文世)から注意された。
「もう大丈夫です。今日退院ですし」
美奈子(長山藍子)に面倒みてもらうしかない。そのためには転校させなければならない。
担任の石田(浅野和之)に相談すると、凛はまもなく開かれるクラスの音楽会でハーモニカを吹くのを楽しみにしているという。
ゆら(小雪)が退院祝いのケーキをもって現れると、凛は久しぶりに笑顔をのぞかせた。
ところが床に落ちていた商店街のサービススタンプに気づいた途端、泣きだした。
「どうしよう。凛のせいだ」
母親の可奈子(りょう)が家出する直前、凛はスタンプの缶をひっくり返したまま片づけなかった。
「そのせいでお母さんは出ていったと思いこんでいるみたいです」
ゆらは徹朗の帰宅を待って伝えたが、徹朗の反応は
「それで」の一言きり。
ゆらが釈然としないでいると
「凛のことで俺に意見しないでください。来週末に引っ越しますから」
つまり次回でレッスンは最後。ゆらは感情を押さえて
「わかりました」とだけ答えた。
凛の態度が変わった。
「1人で行きます」
徹朗が出勤してから登校するようになった。
「ただいま」
「お帰りなさい」
徹朗が帰ってくると自分の部屋にひきこもった。
「無視かよ」
明らかに徹朗を避けている。
日曜日、徹朗は実家を訪れた。まもなく母親の三周忌。可奈子が来れないと伝えると父親の義朗(大杉漣)は不満をあらわにした。
「女房にわがまま言わせて、どうするんだ」
家出したなんて言えるわけがない。晴れない気分で徹朗が帰宅すると、レッスン日でもないのにゆらが来ていた。
「凛ちゃんに頼まれ事をされちゃって」
ところが徹朗と面とむかうと凛は話さない。結局ゆらから聞きだせたのは出前の寿司で夕食をすませて、凛が自分の部屋に消えてからだった。
「おばあちゃんの家に行くのは音楽会が終わってからにしてほしいって」
徹朗と美奈子の会話を盗み聞きしたようだ。
「音楽会なら転校先でもあるでしょ。俺がちゃんと納得させます」
そして徹朗はゆらにこう付け加えるのを忘れなかった。
「家庭教師以上のことはしてくれなくてけっこうですから」
会社の昼休み。徹朗が休憩室でコーヒーを飲んでいると、宮林(東幹久)がウンザリした表情で携帯電話を切った。
「妹から旦那のグチ。家族の団らんがないって」
部下の岸本(要潤)も加わっていつしか話題は少年時代の思い出になった。
「家族の団らんなんてドラマだけだよ」
徹朗は決めつけたが、宮林と岸本は父親とよくキャッチボールしたという。
「ないんだ、お前」
ゆらは友達に徹朗のことをボヤいていた。
「何もわかってないくせに、自分が父親だってことは主張するのよ
その時ゆらの携帯電話が鳴った。
「こわいよぉ」
おびえた凛の声が聞こえた。
1人で留守番をしていて雷が鳴りだしたものだから脅えているらしい。
「ゆら先生、来て」
行ってやりたいが、徹朗の言葉がよみがえった。会社に連絡すると徹朗はまだ残業していた。
「用件だけ伝えます」
ゆらは凛の様子を伝えると電話を切った。すぐさま帰宅してくれるものと期待した。
しかし徹朗が家に着いたのは遅かった。そして凛をなだめるゆらの姿に徹朗の表情は強張った。
「すみません。勝手なことして」
「最後のレッスンの日以外は来ないでください」
徹朗の声は怒りを秘めていた。
しかし今夜のゆらは引き下がらなかった。
「雷をとてもこわがって、私が来るまで泣いてました」
「仕事をほうりだすわけにいかないだろう」
冷静なゆらと、自分を必死に正当化しようとする徹朗。張りつめた空気が流れた。
「あなた、何もわかってないです」
凛との生活は徹朗にストレスを募らせる一方だった。
そんな矢先、可奈子から連絡がはいった。
「わかるように説明してくれ」
徹朗から迫られた可奈子は強い目で見返すときっぱりと言った…。
引用:番組HPより